先日、Vtuberの天開司さんが主催する神域リーグの開催見送りが発表されました。
私はこの神域リーグによってほぼ初めてVtuberという存在に触れたので、個人的にも非常に残念に思います。
天開さんはいくら業界内でしっかりした地位を築いているとはいえ、やはり個人勢ということもあり初期の想定規模からはるかに大きくなってしまったこの大会は、手に余るようになってきたのでしょう。
前回開催の際は打牌批判に関して強く注意がされるなど、麻雀というゲームの民度も関係しているのは間違いありません。
神域リーグのいいところ
第1回の神域リーグが唯一無二と感じたのは、みんなが楽しそうに打っていたことでした。
麻雀というゲームの一番いいところは、初心者でもルールさえ理解すれば2割くらいは勝てるところです。
普通の放送対局とは真逆の「そのカンチャン引く!?」や「そのカンする必要ある!?」などなど、理にそぐわない選択からの理不尽な勝利は視聴者を惹きつけるのに十分な魅力を持っていました。
そして初心者・中級者・上級者から1人ずつというのがチームドラフトのレギュレーションとした結果、通常の配信で麻雀をおぼえそれを神域リーグという本番で実践できるというのはひとつのドキュメンタリーとして成立していました。
視聴する側にあっても麻雀というものに対する理解がなくとも、Vtuberに対する理解度で視聴が成立するという非常に優れたバランスのリーグでした。
Vtuberのファン層は喉から手が出るほどほしい層
Vtuberのファン層は若年層が中心です。
どの業界でも先細りが確定している中、若年層をどれだけ取り込んでおけるかは死活問題となっています。
ギャンブルという観点でも、競馬はコロナ禍やウマ娘などの寄与もあり若年層にも改めてファン層を拡大させ、パチンコ業界なんかも大学生向けにかなりの規模の活動をしたりと、牌を必死に奪い合っている状態です。
話は戻ってVtuberの活動は基本的にゲーム配信プラス何をするかという感じで、ゲームとの親和性が非常に高いのは言わずもがな。
その好きなVtuberが配信しているゲームを無料アプリですぐに遊べるというのは、かなり動機と行動を直結させることができる素晴らしいスキームになっていると思います。
この麻雀というルールがややこしいゲームにおいて、そのゼロからイチへの障壁をここまで減らす活動をしてくれる人や団体がいるでしょうか。
これは現在の麻雀プロでは無理なのです。
麻雀プロでは「ちゃんとおぼえてみたい」という気持ちが芽生えたイチの人は引き上げることはできるかもしれませんが、若者に向けてゼロをイチにさせるほどの露出は世間においてないのです。
団体で活動するにしても初心者スクールや子ども大会の主催などが関の山で、最近いくつか事例が出てきた地域などに根ざしてというのはギャンブル扱いという障害も相まって本格化するのはまだまだ遠い未来でしょう。
逃した魚は大きい
そこに降って湧いた偶然が神域リーグだったのです。
Mリーグという業界内で確固たる地位を築いたプロがいて、新たな広がりを見せている最中の麻雀業界の中、この偶然は非常に効果的だったと感じます。
Vtuberと絡める地盤と知識がある多井プロはもちろん、顔が良くて喋れる松本プロなどこの偶然を扱える人が揃っていたからこその幸運でした。
火が灯り、薪をくべる人がいて、踊る人が現れ、それを見る人が現れる。
天開さんが齎してくれた偶然を、もっと業界はバックアップできなかったのでしょうか。
もちろん天開さん自身が無理と言ってしまえば終わるのは当然のイベントでした。
しかし業界の利点だけを考えれば、早い段階でスポンサーをつけて開催の可否の選択すらさせないくらいのことをすべきだったのではないでしょうか。
この開催見送りによって逃した魚は大きすぎる、そんな気がするのです。